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結婚不要社会?
『パラサイト・シングルの時代』など、時代の特徴をうまく捉える表現を使って社会を分析する山田昌弘さんの新著です。
タイトルからだと誤解を招くかもしれません。本書では中高年の婚活も勧める山田さん(「婚活」も山田さんの造語)は、高度経済成長期には時代とマッチしていた結婚という形が、低成長(実質賃金指数の推移でいうと、1997年を100としたとき、2016年はアメリカ115.3、フランス126.4、スウェーデン138.4などと上昇していますが、日本は89.7%と10ポイントほど下降しています)のなかでは合わなくなっていることを指摘しているのです。
「成長社会のもとでは『自分の家族だけを心配していればいい』という社会のほうが、能力のある人にとっては得です。ゆえに近代社会では、宗教集団や親族集団が徐々に機能しなくなったわけです。(中略)高度経済経済成長期の日本は、地域社会や親族集団に頼らなくなった社会であり、かつ97%の人が結婚できる社会でした」
その時代を山田さんは「いいとこ取り」ができる特別な時期と評しています。とすれば、結婚が困難な時代にこそ、自分だけでなく仲間と助け合うことが求められているのでしょう。
ただ、それは昔ながらの世間ではなく、地縁・血縁を超えた人のつながりなのではないかと思います。