12月18日(日)、金沢市にある(福)佛子園の施設、Share金沢で恒例のクリスマスパーティが開かれました。年々グレードがアップしていくステージ、今年のオープニングは「サントリーオールド」のCMのテーマ曲「夜がくる」(若い方はご存じないかもしれませんが、名曲です)をモチーフにしたドラマ仕立ての演奏でした。

物語全体を支える清水さんのリードギター

Share金沢の施設長、清水愛美さんのリードギターで物語が進み、やがてサックス、フルート、トロンボーン、キーボード、ドラム、三線までが登場。経験者も未経験者も一緒に、俳優陣も加わって、クオリティの高い舞台が生まれました。

ストーリーは佛子園のエイブルべランダBeのドラマワークを担当している劇・あそび・表現活動「Ten seeds」代表の黒田百合さん。元劇団四季の団員で、現在は障害のある子どもたちを中心に演劇や太鼓、絵画や陶芸などのワークショップを開催しています。凝った舞台の大道具・小道具は職員の藤森さん。音楽の指導は金沢市で地元小学校の金管バンドやキッズ・ジュニアバンド「ジュニアジャズオーケストラJAZZ-21」などの講師を務める前川雅俊さん。大学までホルンを演奏されていたという佛子園星が岡牧場の施設長、岸本貴之さんが総監督を務めたそうです。

サックスの雄谷理事長はタップダンスも披露

半年以上も練習を重ねてできたステージについて、佛子園の雄谷良成理事長は「各拠点からメンバーを集めて、本物を見せる」。それが遊びであっても真剣にやることの意味を強調します。

「よく楽しんでやります、とか言うでしょ。それは一流の演奏家やアスリートのセリフ。極限まで追い込んだ上で言えることであって、ぼくら素人の言うことじゃない。楽しいと思ってもらうのはクリスマスパーティに来てもらったお客さんたち。ぼくらは『1年間、ありがとうございました』の感謝を伝える。だから本気のエンターテイメントじゃなければだめなんだ」

管楽器のメンバーが勢ぞろい

「遊びをせんとや生まれけむ 戯れせんとや生まれけんは平安時代末期の1180年ごろ、後白河法皇によって編まれた「梁塵秘抄」の中の歌。「人は遊びをしようと生まれてきた。戯れにただ興じようと生まれてきた」という意味ですが、ここでいう「遊び」や「戯れ」は本気でやる。だから面白い。

『夜がくる』には三線の音色も沁みます

「本気でやるという経験が仕事で苦難に直面したときの乗り越える力になるんだよね。『遊び』に理事長も新卒も関係ない。練習の段階では否応なしに、自分のおそまつさもさらけ出される。そういうことを通して、ひとつのものをつくりあげていくのが大切なんだ。そしてそれが面白かったことを各拠点で伝えると、『私もやりたいな』と他の職員も思う。個々の経験がそうやって積み重なっていくことで、組織も強くなっていく」と雄谷理事長は言います。ちなみに音楽指導の前川さんはリハーサルと本番で違った音楽を入れ込んだりするとか。そういうアドリブにもメンバーは鍛えられそうです。

このシーンのバックに流れるのは『Singin’ in the Rain』
クリスマスのラブストーリーも交え

そして「ミッション・インポッシブルには『遊び』が不可欠。座学だけではできない」とも。「ミッション・インポッシブル」は、雄谷理事長が会長を務める(公社)青年海外協力協会(JOCA)が掲げる「JOCA VISION 2030」のひとつ。困難な課題に対して、できる限りの情報を集め、ち密な計画を立て、それでも不確定要素があった場合は、勇気をもって一歩踏みだす。そうした人材を育成するという意味が込められています。

そういえば、あの映画、主人公たちは極めて難しい任務を遂行するのだけれども、随所で笑ってしまうのは遊びの要素が満載だからでしょうか(そこが最近の『007』と違うところかも)。だからかどうかはわかりませんが、『ミッション・インポッシブル』の主人公を演じるトム・クルーズがかつてバーテンダー役で主演した『カクテル』をイメージを基に、(公社)青年海外協力協会(JOCA)の鳥取県南部町の拠点、JOCA南部の面々は見事なショーを見せてくれました。音楽は『フットルース』。50代以上の人にはたまりません(笑)。

JOCA南部の皆さんは若きトム・クルーズばりの手さばき、足さばき

その他のプログラムも充実。カポエイラ(かつての奴隷が練習していたという格闘技と音楽、ダンスの要素が合わさったブラジルの文化)とバハヴェント(ブラジルで生まれたサンバとレゲエをミックスさせた太鼓中心の音楽)、佛子園アイドル部による歌の披露(岡本真夜さんの『TOMORROW』)、B’sこどもLaboダンス、金沢商業高校吹奏楽部の演奏など、盛りだくさん。

バハヴェント、テンション上がります
佛子園アイドル部の皆さん、今年も熱唱

最後はウクレレパイナの登場です。ハワイアンだけでなくポップスからジャズ、ラテンナンバーの名曲を独自のアレンジで演奏するバンドのリーダーはGenこと源 学(みなもと まなぶ)さん。保育園の園長さんでもあります。実に多彩な人たちの集まりはラストの「石川サンバ」で大団円へ。

お客さんをノリノリにするGenさん
前川さんはトロンボーンで
会場もご覧のとおり

こうして遊びとしごとの境界もあいまい=ごちゃまぜになっていくパーティは終わりました。そして来年のたくらみも。雄谷理事長はにやっと笑って、「あー今年も終わったと荷物を下すと、また持ち上げるのが大変でしょ。だから、しょったまま走る。さあ、次はどこへ行こうか(来年は何をしようか)ってね」