認知症の世界へようこそ。ページを開くと、そんな言葉が聞こえてくるようです。「乗るとだんだん記憶を無くすミステリーバス」「地図がまったく役に立たない二次元銀座商店街」「足元に突如現れるサッカク砂漠」などなど。認知症のある人の内面世界を描くようなイラストに誘われて、私たちの旅が始まります。

認知症の当事者が求めるのは、その状態が正しいのか間違っているかの判断ではなく、その状態がどういうものかを知ってもらうことではないでしょうか。あなたの見えているものを私も見たい――それは人を知るという行為でもあり、本書は認知症のある人もない人も地続きだということも教えてくれる本です。