Blog
それでも桜は咲く

4月6日、金沢市東山の蓮昌寺において釈尊ご降誕会・花まつり・桜下の宴が開かれました。お釈迦様の誕生を祝い、花を愛で、主計町茶屋街の「仲乃屋」の芸子の方々の舞いを楽しむ場です。蓮昌寺の境内ではお寺の建物に向かって右側奥にあるしだれ桜が先に咲いていました。この日は正面のソメイヨシノが満開のなか、しだれ桜の花びらが散って境内を舞っていました。そしてソメイヨシノが散ると、あんずの実がなる。春の訪れです。
「うぐいすは『ほー、ほけきょ』と鳴きますね。これは『法華経』のようだといわれています」と蓮昌寺の住職である雄谷良成・佛子園理事長・青年海外協力協会会長。春告鳥ともいわれるうぐいすは、普段は「ちゃっ、ちゃっ」と鳴きます。「ほー、ほけきょ、けきょ、けきょ」と鳴く際は、「ここは自分の縄張りだ」と主張しているのだそうです。

この会は4年前から株式会社五井建築研究所の故西川英治会長を偲ぶ機会にもなっています。故西川会長は、社会福祉法人佛子園のごちゃまぜの建築に長く携わってこられた方です。息子の健太郎さんはご本人の遺影をもって参加されました。この写真はかつて雄谷理事長が西川会長と一緒にブータンを訪問した帰り、トランジットで下りたタイの空港で撮ったもの。ご自身の病気を覚悟した西川氏が雄谷理事長に撮影をお願いしたそうです。
法要では雄谷住職によって、昨年元旦に起きた能登半島地震における犠牲者の追悼、4月20日から順次開所していくコミュニティセンターが開設が被災地の方々の生活に資するための祈願も唱えられました。
コミュニティセンターは輪島市のマリンタウンの仮設住宅団地に隣接する「コミセンマリンタウンBASE」(4月20日)からスタートします。なぜBASEなのか。雄谷理事長はこう語ります。
「イメージはUS Military Base。たとえば常に戦場の最前線に立つ海兵隊が、どうしても後退せざるをえないとき、彼らが戻って休息をとれるところが基地の役割だ。BASEには被災地という最前線で何か困ったことがあったら駆け込める場という意味を込めている」
したがって「コミセンマリンタウンBASE」のロゴは通りから見えるように大きく、横文字一行で外壁に記す。被災地に「BASE」という文字の入った建物が開設されることで、これまでの風景に力強さが加わっていくことでしょう。
ある人はこれを聞いて、「現代の駆け込み寺みたいだ」と言っていました。内閣防災の災害救助費と厚生労働省からの予備費という財源ミックスで建てられるわが国初めてのコミセンは、被災地に限りません。住民の皆さんがいつでも集まれる場が、突然の災害に遭っても立ち直れる基地=BASEになる。能登半島にこれから順次開所していくコミセンが、日常時も非常時も変わらず機能するフェーズフリーな空間として全国に広がる嚆矢となるのです。
能登半島の地震・豪雨被害の支援活動はここまで進化しました。桜下の宴が終わり、挨拶に立った雄谷理事長の次の言葉には実感が込められていました。
「昨年来、能登半島地震の支援活動に奔走し、時間軸がおかしくなっていましたが、桜は何があっても咲くんですね」