昨夜のNHK BS1 で放映された「中国地方推し!ラウンドちゅうごく “地銀”が変わる~生き残りかけた新たな戦略~」では、ネット金融大手SBIホールディングスと提携した島根銀行、そして地域振興に注力し、ビジネスモデルの模索を始めた 山口フィナンシャルグループ(YMFG)が取り上げられました 。

うち、 YMFGは、地元企業への融資にとどまらず、自らが当事者意識を以って地域に入り、事業化に取り組んでいます。先月にはグループ会社のYMFG ZONE プラニングと連携し、農業法人「株式会社バンカーズファーム」を設立。農家を改修した社屋にYMFGから3人程度の社員を派遣し、農業関係者の協力を得ながら、10月までに岩国市や周南市などでワサビの農地を選定する計画です。山口県は全国でも有数のワサビの産地だったのですが、需要があるのに生産が減っているため、銀行自らがその再生に乗り出したのです。

日本経済新聞(2020年1月24日付)によると、農業法人を設立して自ら農業に参入する金融機関は近年増えており、鹿児島銀行はタマネギやオクラ、宮崎銀行はアボカドとキウイを生産。千葉銀行は稲作を手掛けており、農地を借り増しして生産規模を拡大しているとのこと。

農業や漁業などの一次産業は、今回のコロナ禍のよる影響が、製造業やサービス産業に比べて少なくて済んでいますが、農家の減少や耕作放棄地の増加といった課題を抱えています。低金利政策や人口減少により苦戦を強いられている地方銀行がその解決を目指すという動きは、両者がともに再建を目指すチャンスと捉えられるのではないでしょうか。