昨夜のNHK『サンデースポーツ2020』で元サッカー日本代表監督の岡田武史さんが取り上げられました。

岡田さんは2010年のワールドカップ南アフリカ大会で指揮をとった後、愛媛県のクラブチーム、FC今治のオーナーに就任。現在は株式会社今治.夢スポーツの代表取締役会長としても活動されています。

岡田さんを尊敬するところのひとつは、華々しいキャリアを積んだ後に地域に入っていくところ。日本代表が初めてワールドカップ出場に導いた1998年のフランス大会後はJ2のコンサドーレ札幌の監督に就任。2年目にはJ1昇格を果たしました。

今回はJ2ではなく、J3です。しかも、決してサッカーが盛んな地とはいえない四国の小さな町で、だからこそ可能性を見出している。岡田さんはインタビューで、自分も60歳を超えたし、指導者としての限界も見えてきた。これからは指導者を育てる立場に回りたいという趣旨のことを語っていました。

指導の対象もJ3の選手ではなく、子どもたちの方。「日本のサッカーは、子どものときには教え過ぎず、好きにやらせろと言っておいて、高校生になるといきなり戦術を教え込まれる。だから言われたことはできるけれど、思い切った発想はできない。ジーコやザッケローニが監督の時、ワールドカップの初戦で負けた後、どうしてガタガタと崩れていったのか。自立した選手が少なかったからだと思んです」

岡田さんがインタビューに答える株式会社今治.夢スポーツの本社の建物は地元の古民家。誰もが自由に出入りできるオープンなつくりです。「こういう場で社員同士がすれ違ったときに交わすさりげない会話が何かのヒントになったりするんですよ」

岡田さんがいま目指しているものは「経済的な豊かさだけではなく、心の豊かさのように、目に見えないものを社会にもたらすこと」。以前、朝日新聞のインタビュー(2019年11月22日付)では「経営者になって初めて気づいたことがあった。生きがいがあって、人と人との絆がある。稼ぐことだけに振り回されず、人間らしさを取り戻したい人が住み着く地域、街づくりをしたいと思うようになった」と語っていました。

番組でも紹介されていた昨年末、岡田さんが上梓した『岡田メソッド』。本屋さんに行って買ってきます。