2019年10月1日、山梨県都留市にて「ゆいま〜る都留」「下谷交流センター」のオープン記念式典が開催されました。ゆいま〜る都留とは旧雇用促進住宅を改修し、エレベーターを設置、バリアフリーにしたサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)。下谷交流センターはゆいま〜る都留の敷地内に建つ交流スペースで、1階にはカフェ・レストラン、多目的ホールなどが開設。2階には小規模多機能型居宅介護施設が入っています。

 式典には主催者挨拶として堀内富久・都留市長、須藤康夫・(株)コミュニティネット代表取締役が登壇されました。2013年12月、現職の堀内市長が「シルバー産業の構築」という施策を立て、2015年頃から「日本版CCRC」という考え方が広がって以降、国、市、そして民間事業者が連携しながら進めてきた都留市の「生涯活躍のまち」構想の第一弾が実現したのです。

 堀内市長は「CCRCという言葉が日本で使われなかったときから都留市が進めてきたプロジェクトがここまで来た。それには国からの支援やいいブレーンなくしては難しかった」。ゆいま〜る都留を運営するコミュニティネットの須藤代表取締役は、「いま申し込んでいる方の5割以上が首都圏からの方々であり、移住促進の面でも貢献ができた」。来賓としては山梨県総務部・秋元達也理事(長崎幸太郎・山梨県知事の代理)、堀内紹子・衆議議員、中野孝浩・内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局参事官が挨拶に立たれ、「入居率100%を目指して、高齢者雇用など新しい産業を立ち上げてほしい」(堀内議員)、「『生涯活躍のまち・つる』は、既存ストックの活用、官民連携など、国の政策に先行する先進事例」(中野参事官)といった声が寄せられました。

 全80戸のうち、すでに56戸の入居が決まっていることには驚きと称賛が寄せられましたが、「都留市でどうやって暮らすか」を話し合う「生涯活躍のまち・つるをつくる会」という移住関心者の集まりを定期的に開催し、約4年をかけて参加者のニーズを把握しながら、それらを「ゆいま〜る都留」の暮らしに反映させるよう努めてきた成果といえるでしょう。

 入居者代表として挨拶に立った堀場ミツ子さんはケアマネージャーと健康運動指導士(安全で効果的な運動を実施するためのプログラム作成および実践指導計画の調整等の役割を担う)の資格をお持ちであり、それを地域のために生かしたいとおっしゃっていました。これから入居予定の大沢由花さんは「元気なうちに移住したかった。都留市への移住を決めた理由は、富士山に近いにもかかわらず、観光地としては手付かずで素朴で落ち着いているところ。都留市の方は『観光客が通り過ぎてしまうまち』と残念そうにおっしゃいますが(笑)、それも魅力のひとつなんです」。ゆいま〜る都留については廉価な家賃(約3万円)を挙げるとともに、「国や自治体、そして民間事業者が連携して進めているプロジェクトなので安心して住むことができるし、マンションの入居者組合の枠を越えて、地域のなかで暮らせるのが何よりもうれしい」と、「生涯活躍のまち」の考えを知ったときの喜びについても話してくださいました。

 都留市には3つの高等教育機関があります。都留文科大学——60年以上の歴史をもつ、都留市が設立した教育者を養成する、いわば「ヒトづくり」の大学です。その後、2013年に誘致した山梨県立産業技術短期大学校——同校は都留市の基幹産業である「モノづくり」と連動しています。そして、2016年に開学した健康科学大学看護学部——市内にあった県立高校2校が統合されたうち1校の一部も利活用して完成した同校は「健康づくり」に取り組みます。これら「ヒト・モノ・健康」をつなげて、生涯活躍のまちに組み入れるのが都留市の大学連携型の特長であり、「生涯活躍のまち」の本丸はこれから、と堀内市長は力強く語りました。