8月1日、広島県安芸太田町で生涯活躍のまちの拠点となる「月ヶ瀬温泉」がオープンしました。中国地方の内陸の中山間地、人口は約6,000人。かつて林業で栄えた、山陽と山陰を結ぶ道の宿場町には、昭和40年代(当時は加計町)には100軒以上の飲食店、映画館は3つ、パチンコ店は4つあったとのこと。しかし、安い外材などが入ってきたことで林業は廃れ、若い人たちは仕事を求めて広島市や他の都市へと出ていき、この地まで敷かれていたJRも廃線となりました。

「だからほんとにうれしいねえ」という上本和子さんは加計生まれ、加計育ち。他の町から来たご主人と結婚。お子さん3人は独立。今年84才になられます。「この地域は郵便局も銀行もあるし、バスに乗ればすぎに町立病院に行ける。車がなくても不便はあまりない。ただ、住む人々が集まれる場所がなかったので、月ヶ瀬温泉がができるのを待っていたのよ」とおっしゃっていました。

手前左が上本さん。右は加計印刷社長兼安芸太田町勝手に観光大使の大倉啓司さん、後は(一社)地域商社事業本部長の栗栖修司さん

「月ヶ瀬温泉」は(公社)青年海外協力協会(JOCA)が単独で運営する初めての拠点、生涯活躍のまちのコミュニティです。この町に支所(JOCA×3)を開いたのが4年前。地元の県立加計高校の国際交流おもてなし隊の3人の女子高生の司会で始まったオープンセレモニーの冒頭の挨拶で、JOCAの雄谷良成会長は、「ようやくここまで来ました。いま社会的距離をとることが求められていますが、私たちは心の距離は近くしていきたい。それは、子どもも高齢者も、障害のある人もない人も、認知症の人も、日本の人も外国の人も関わりあって暮らすことなのだとあらためて確信しています」と述べました。

加計高校国際交流おもてなし隊の生徒さん

続いて、安芸太田町の橋本博明町長は「この拠点を支えながら、安芸太田町の家族づくりをしたい。だから町民の皆さんもまちづくりに参加してほしい」、広島県健康福祉局の田中剛局長からは「共生社会とはどういうものか。佛子園の施設を視察したときそれがわかって、目からうろこだった。そして安芸太田町でも進んでいると聞いて驚き、いまこのオープンの場にいることをうれしく思う」、安芸太田町議会の矢立孝彦議長は「JOCAの皆さんがこの事業を立ち上げる前から町内の高齢者の方々への配食サービスをしてくださっていた。しかもJOCAの中国支局を広島市から安芸太田町に移し、ご家族と一緒に住んでくださっている。そのことにも感謝したい」。そして最後に乾杯の音頭は小西俊二さん。小西さんは旧加計町出身ですが、関東で長年仕事をした後、地域おこし協力隊として帰郷。「月ヶ瀬温泉が地域の再生の拠点となるように」とコップを掲げていただきました。

橋本町長
田中局長
矢立議長
小西さん

セレモニーの後半に行われた、橋本博明町長、雄谷会長、そして町民代表として登壇した加計印刷社長兼「安芸太田町勝手に観光大使」の大倉啓司さんのトークは大倉さんの独壇場。地元愛がひしひしと伝わってきました。話がレストラン「やぶ月」の名物お蕎麦の話になり、雄谷会長が「安芸太田町は水がおいしすぎて、そばの風味を出すためにもひと工夫が必要」という贅沢な悩みを吐露すると、橋本町長がぽろっと「やっぱりメニューに“かけさんそば”を入れなければだめでしょう(笑)」。普通のかけそばより三倍おいしい? それとも三人前分くらいの大盛? 爆笑の連続で幕を閉じました。

当日の様子、月ヶ瀬温泉の居場所としての役割などについては、当協議会の小冊子『生涯活躍のまち』などで、あらためてご報告いたします。