石川県で毎年、良好な景観形成に貢献している団体または個人を顕彰している「いしかわ景観大賞」の令和最初の受賞は「輪島KABULET」です。

当協議会の正会員である社会福祉法人佛子園が、同じく正会員の公益社団法人青年海外協力協会と連携して進めている 「輪島KABULET」 は、かつては人通りが絶えなかったものの、人口減少で空き家が増えてしまったエリアで始まりました。佛子園はその空き家の数軒を改修し、 障害者の就労継続支援を組み入れた天然温泉や食事処、生活介護や放課後等デイサービス、高齢者デイサービスや訪問介護ステーション、健康増進のためのフィットネス、さらに拠点施設から少し離れた障害者のグループホーム、輪島川の向こう側のサービス付き高齢者向け住宅、そして、 築70年余りの町家をリノベーションしたゲストハウス(ここでは製麺所も併設したラーメン店もオープンの予定)を運営しています。まちなかに点在している空き家を再生することで点と点を結んで線が、線がつながって面ができるようになりました。

景観とは文字通り、建物の見栄えだけではありません。それらがまちに溶け込み、生活する人、訪れる人の心地よくさせてくれる風景をつくることで成り立ちます。佛子園はShare金沢(第21回)、B’s行善寺(第24回)に続いての受賞。生涯活躍のまちを展開している市町村のなかでは初めての受賞となりました。

「私ね、これまでたくさんの有料老人ホームや高齢者向けの住宅を見てきたんだけど、ピンとこなかったのよ。その理由が輪島KABULETに来てわかった。『ああ、自分はこういう街並みのなかで暮らしたかったんだ。ここで生活していれば、安全で安心な日々を送れる』。そう思ったのね」。これはある著名な方の言葉です。景観の意味がとてもよく伝わってくると思いませんか。

輪島KABULETをそのまま真似る必要はありません。そのまち、そのまちの特性に合ったつくり方があるはずです。

全国で多様な生涯活躍のまちがつくられていくと日本はもっと素敵な国にある。そう思っています。なお、輪島KABULETの関連記事は以下からお読みいただけますので、どうぞ。