能登半島地震から半年が経過した。被災者であると同時に支援者として活動してきた社会福祉法人佛子園ならびに公益社団法人青年海外協力協会(JOCA)は、人命救助を最優先とする超急性期を過ぎた後、できるかぎり早く日常を取り戻すべく、輪島市の輪島KABULET、能登町の日本海倶楽部の各施設の通常稼動を目指し、「あそこにいけば誰かがいる」と地域の方々に安心してもらえる場に戻っている。
 現在、佛子園とJOCAは仮設住宅(輪島市と能登町を合わせて約3300戸)の見守り、安否確認の活動にも取り組んでいる。避難所から仮設に移ると、プライバシーが確保される反面、入居者同士がお互いの様子を見る機会を失う。それによって室内に引きこもり、持病を悪化させるといったリスクをどう防ぐか。仮設住宅での生活で具合の悪い方がいたら医療機関に任せて終わりではない。その人が再び日常を生き生きと送れるためにはどうしたらいいか。いま元気な方がこれからも変わらず過ごすための環境づくりも必要だろう。
 しかしながら、支援スタッフの数は限られている。今後、建設が予定されているコミュニティセンターは、そこに地域の人々が集まることで互いの情報を交換するという役割も果たすことになる。つまりは地域全体が見守り、安否確認をしていくということだ。
 災害関連死をどう防ぐか。これは「ごちゃまぜ」の地域づくりである生涯活躍のまちの発展型ではないか。いみじくも今号に登場いただいた有近眞知子さんは、「ごちゃまぜ」の拠点が機能するには「地元での人間関係をつくることが先決」と言われた。国土強靭化でもっとも大切なのは「人と人との関係である」(雄谷良成・佛子園理事長、JOCA 会長、当協議会会長)ことを再認識する号ともなった。