写真:オープン記念式典でのテープカット(左から、木村隆彦秩父市議会議長、須藤社長、中野参事官、久喜市長、高野区長、秩父さくら幼稚園の皆さん)

 さる10月30日、埼玉県秩父市において「花の木交流センター」及びサービス付き高齢者向け住宅「ゆいま〜る花の木」オープン記念式典が開催されました。

 秩父市は東京都豊島区と姉妹都市提携を結んでおり、式典では秩父市の久喜邦康市長ならびに豊島区の高野之夫区長が挨拶されました。2014年に豊島区がいわゆる「増田リポート」(※この名称は2014年5月に元総務大臣の増田寛也氏が座長を務める「日本創成会議」から発表されたことに由来)で「消滅可能性都市」とされた際、高野区長をはじめ、多くの関係者は衝撃を受けましたが、それを機に、どのような区政を進めていくかという積極的な発想に転換したそうです。秩父市との姉妹都市提携に基づく人の交流もそのひとつ。久喜市長はお互いにないもの(たとえば、豊島区で盛んな文化芸術と秩父市の豊かな自然)を補い合うことで、双方の住民がより豊かな人生を送ることができる姉妹都市提携のよさを語られました。

 そのひとつのシンボルが、株式会社コミュニティネットが運営する「ゆいま〜る花の木」です。西武秩父駅から歩いて約15分。静かな住宅街のなかに並んで立つ建物は周囲とうまく馴染んでいます。隣接する「花の木交流センター」(こちらもコミュニティネットが市の公共施設の指定管理者として運営)に「ゆいま〜る花の木」のフロントを置くことで、ここが入居者と地元住民の出会いの場にもなります。

 挨拶ではコミュニティネットの須藤康夫代表取締役社長が「ゆいま〜る花の木」を「生涯活躍のまちの第2弾(9月末にオープンした「ゆいま〜る都留」に続き)であり、新築としては全国で初めて。ここが参考事例になってほしい」。内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局の中野孝浩内閣参事官は、ここの優れた点として「建物を建てる際にコミュニティづくりがうまくいっている」「豊島区との姉妹都市提携によって関係人口の増加がみられる」「公民連携がうまく進んでいる」を挙げました。

 「ぼくは中高とラグビーをやっていてね、東京でも子どもから大人まで楽しめるクラブチームをつくったんだ。夢は秩父市に天然芝のグラウンドをつくること。東京のラグビー好きが合宿できるように、菅平みたいなさ。ラグビーのメッカの熊谷へも秩父から秩父鉄道で一本で行けるからいいよね」

 入居を決めた髙野正義さんは生まれも育ちも豊島区。当面、自宅と秩父市を行き来する2地域居住をするそうです。

入居を決めた髙野正義さん

 日本初のラグビーワールドカップ開催期間中は何度かスタジアムに足を運ばれたそうです。

 「秩父市も人口が減っているし、まちを少しでも元気にしたいという使命感もあるかな」と髙野さん。その明るく開放的な性格で、秩父でも地域のリーダー的な存在になってくれるでしょう。

 これからの課題は「ゆいま〜る花の木」を満室にすること(12月20日時点で全20戸のうち、入居は予約も含めて11戸)、「花の木交流センター」を地域に向けて開放すること。幸い近くには幼稚園、保育所、小学校、中学校、高校及び高等技術専門校があり、国が掲げる高齢者から子どもまで「全世代活躍」のための資源は豊富です。ここから全国のモデルケースとなる秩父での「ごちゃまぜ」コミュニティづくりが始まります。

ゆいま〜る花の木