3月10日(木)に開催した標記のオンラインセミナーでは、studio-Lのコミュニティデザイナー、西上ありささんから、人々の感性に訴えかけることで「参加の場や機会」をつくる手法などを中心にお話いただきました。

西上さんによれば、社会課題を解決する方法として、これまでの補助金や税制の優遇などによる「経済的に解決する道」や、法律や条例などのルールで意識づけや行動を促す「制度的に解決する道」だけではななかな解決できない課題がある。それに取り組むために進むのは「共感によって解決する道」とのこと。

正しさだけでは人は動かない。楽しさがあると人は自然と動き出す。その「楽しさ」って何だろう? 西上さんは現場、現場でそれを発見して仕掛けていきます。くすっと笑うようなもの、思わず脱力してしまうようなもの、お腹を抱えてしまうようなもの、などなど。仮に予算がなくても、何にお金をかけて、何はお金以外の交換(ある場所を借りたら一日草刈りするとか、夢やアイデアを提供することで報酬に代えてもらうとか)で成り立つのかを分けて、知恵を絞ればいろいろなことが可能だという気づきもいただきました。

後半は西上さんとイオン北海道営業本部生活圏デザイングループマネージャー、栗原泰弘さんとのトーク。テーマは「ショッピングセンターから地域に根差したプロジェクトを生み出す」。イオンに来られるお客さんを、コーディネーターたる社員の皆さんが市民活動の担い手にしてしまう。そんな取組が紹介されました。何より社員の皆さんが楽しんでいるのがいい。多くの企業のなかでもこういうグループが生まれ、それが会社を動かしていくようになると素敵だなと思った次第です。

地元の大学生が、クリスマスの飾りつけをまちの人たちとつくり、区役所やバスの待合室など地域の施設に送ることで元気を送りたいという企画を立ち上げて、それをイオンのコーディネーターたちがサポートする。そんなプロジェクトも実現したそうです。コロナ禍で人との交流ができない若者にとってもとても心が温まる経験だったとのこと。

「楽しい・好き」から企画をつくり、実行して、その成果が出ると、さらなる「楽しい・好き」が生まれる。これは「A・A・Aサイクル」という学びのサイクルと呼ばれるそうです。見通し(Anticipation)・行動(Action)・ふりかえり(Reflection)の3つで構成された「よりよい未来の創造に向けた変革を起こす力」を備えるためのサイクル。行政計画や事業計画において使われるPDCAサイクルはチェックされることが前提となるため、策定の段階で達成可能なプランを立てがち。そうなるとサイクルを回すほど成果が小さくなってしまいます。収斂していくPDCAサイクルに対して、A・A・Aサイクルは遠心力が働くので、それ自体が広がっていく。

イオンの取組はA・A・Aサイクル の実践でした。 生涯活躍のまちも「楽しい・好き」で進めたいですねー。