毎年ゴールデンウィークになると、テレビでは決まって新幹線の東京駅ホームにごった返す乗客、東名高速道路に連なる乗用車の渋滞、――ここ数年は円安でその数は減っているとはいえ――成田空港でこれから海外旅行に向けて出国しようとする家族の姿などが映し出される。そして「どこもたいへんな混雑です、以上」。年中行事のような報道が繰り返される。
 日本中が一斉に年末年始、ゴールデンウィークに長期間休むという私たちの習慣をそろそろ変えてもいいのではないか。受けいれる観光業者にとっても、お客が一時期に集中するよりもありがたいはずだ――7年前に刊行された石破茂著『日本列島創生論』(新潮新書)の「6 観光はA 級を目指すべし」における「休日の分散化の可能性」という項のくだりである。そのためには祝日法の改正や家族旅行を理由に年間何日かの休みを認めされることを考えるべきという提言も記されている。
 高度経済成長期以降の日本で生じている様々な制度疲労の指摘と同時に、その解決策を提示する本だ。これまで何度も読み返した。
 連載インタビュー「地方創生から10年」において、初代地方創生大臣である衆議院議員・石破茂さんにお話を聞く機会を得た。そして同書で書かれた方向性をご本人がいまも持論とされていること、能登半島地震も踏まえた新たなビジョンも描かれていることがわかった。
 日本列島の創生、実現したい。