12月7日付『陸奥新報』に弘前・JICA特別派遣前訓練生の活動報告についての記事が掲載されました。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で国内での訓練が受けられなくなったJICA海外協力隊候補生が、その代替として生涯活躍のまちを推進する自治体ならびに事業者とともに地域づくりをサポートする--本スキームはJICA(国際協力機構)と内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局の連携で実現しました。

弘前市は初期の段階で受け入れに手を挙げてくださった自治体のひとつです。同市では、「生涯活躍のまち」形成事業の地域再生推進法人に指定されている(社福)弘前豊徳会が、サービス付き高齢者向け住宅「サンタハウス弘前公園」(以下、サンタハウス)を運営しています。サンタハウスの役割は高齢者のための住宅やサービスを提供するだけではありません。入居者と地元住民も交流できるよう1階には健康増進施設やオープンキッチンを併設し、地域に開かれた「場」づくりにも取り組んでいます。

しかしながら、サンタハウスの施設長兼地域コーディネーターである阿保英樹さんによると、サンタハウスを中心とした地域の活動の周知がなかなか広がらないのが現状なので、特別派遣前訓練生に外部の視点から、この取組のよさを見つけてもらって情報を発信する、また、弘前に関心のある移住検討者のニーズを掘り起こすところでサポートがほしいとのこと。これまで孤軍奮闘していた阿保さん、「従来はどうしても『弘前市と自分たちの活動』にとどまっていたのが、今回、弘前に派遣された壹岐満明さん、大野久美子さんが動いてくれたことで、お互いの存在は知っていても、忙しくてコンタクトのとれなかった地域の方々とお近づきになれました」。また、「『青年海外協力隊』は知名度があるので、地域の人が来てくれるんですね。たとえば食育など、私たちの活動分野とも一部重なるような事業に取り組んでいる団体ともつながりができました。弘前公園というエリアも含めた地域づくりに、より積極的に関わっていくきっかけになりました」とのこと。

生涯活躍のまちに必要な分野横断的な連携が、今回の事業を機に前に進むのではないでしょうか。

「訓練生の皆さんには、今回の弘前市での経験が派遣国での活動に役立てばうれしいですし、これからも弘前市との関係を持ち続けていただければと思います」と阿保さん。

「青年海外協力隊」という名が触媒になって地域の人たちを集めてくれる、という話は、同じく特別派遣前訓練を受け入れてくださった高知市の(一社)高知サマサマCCRCセンターの井倉俊一郎理事からもお聞きしました。

今回の日本国内におけるJICA海外協力隊の派遣前訓練が、メニューのひとつとして定着し、また、帰国した隊員の国内での活躍を支援する取り組みを進めていただければと思います。JICA海外協力隊事業としても、より幅の広いものになるのではないでしょうか。

ちなみに当該記事の概要は下記のURLからお読みいただけます。

http://www.mutusinpou.co.jp/news/2020/12/62653.html