社会福祉法人佛子園はどうしてこんな施設を建てることができるのか、なぜ様々な事業を展開することが可能なのか。そんな問いが投げかけられることがある。「(佛子園の)理念と実践は素晴らしいが、うちでは難しい」という言葉もよく聞く。資金調達や人材の確保、運営方法などを想定すれば、当然の反応ではあろう。だが、すでに完成された施設=ハードに目が奪われるがゆえの感嘆やため息にもなっていないだろうか。
 建物は、地域に困りごとがあり、どうすればいいかを相談され、その解決策を考える、というアプローチのなかで生まれてくるものである。なぜこの事業に取り組んだのか。そもそものところまで遡らないと見えてこない。
 佛子園は困りごとの解決の際、さらに一歩を踏み出す。相手をいかに喜ばすか。相手の思いもかけないことをする、期待以上のものをつくる。それによって、驚く顔がみたいというのが佛子園の基本スタンスではないか。同法人理事として様々な事業に取り組んでいる岸本さんのお話から見えてきたものだ。
 こんなことをしたら彼は、彼女は笑顔になってくれるのではないか、という「企み」は多くの人が日常で考えることだろう。佛子園の事業は建物の設計も、運営のための予算管理も、人の動きも、綿密に計算されているが、それを起動させるモチベーションはシンプルなのである。それを佛子園の雄谷良成理事長は“Performance for Gift”という。人のためにどんなパフォーマンスができるか、日々、考え、動いてみたい。