東京商工リサーチは1月15日付「データを読む」で、 2019年1~12月に早期・希望退職者を募集した上場企業は延べ36社、対象人数は1万1,351人に達したと発表しました。社数、人数は2014年以降の年間実績を上回り、過去5年間では最多を更新とのことです。
 2020年以降の実施では、すでに9社が判明しており、計1,550人の早期・希望退職の募集を予定。食料品や消費材、小売業などの業界大手でも、少子高齢化による消費の低迷や、既存事業の見直しなど、先立つ国内市場の環境の変化に対応しようと事業と人員の「構造改革」を進めていると東京商工リサーチは分析しています 。
 50代で働き盛りの方が会社にいずらくなっているというケースは少なくないそうです。昨年末の朝日新聞では「企業でベテラン社員が築いてきたスキルと、会社が求める業務内容がかみ合わず、やる気を失い、『働かない』中高年を若手社員が『妖精さん』と名付けている」という記事がありました。
 しかし、それはマッチングがうまくいっていないという面もあると思います。当事者たる中高年の方々はもっと働きたい=活躍したいという気持ちをもっているのです。
 生涯活躍のまちには大きく5つの要素があります。「住まい」「ケア」「活躍」「移住」「コミュニティ形成」のうち、この問題は「活躍」と「移住」に当てはまる。地方の企業の人手不足、あるいは後継者不在を解消する人材に彼らがなれればいい。その際のネックのひとつは収入格差でしょう。しかし、長い目で見た場合、現状の収入は高くてもこれから右肩下がりで少なくなっていくのと、いまは低くとも、生涯現役の気持ちで新天地で頑張れば、その業績に応じて高くなる可能性があるのとどちらがいいでしょうか。
 前回のブログで書いたとおり、住宅ローンが終わっていたり、子どもの教育費の支出がひと段落したりしていれば、身も軽くなるのではないでしょうか。たとえば自宅のマンションを貸す、あるいは移住先で副業をもつことで収入を補填するということもできるかもしれません。 収入が少なくとも、いくつかの生業が得られれば、気持ちも楽になるでしょう。一カ所にしがみつくことで何かと我慢しなければならないストレスからも解放されます。
 いま申し上げたのはいわば「バラ色」のシナリオ。現実は甘くないという方が多いと思います。ただ、一方で地方が生き残っていくためには、そのくらいの「働き方改革」をする必要があると思うのです。
 地域の仕事に通じ、移住者のサポートをするメンター的な人材が必要でしょう。地域おこし協力隊では荷が重いかも。まちづくり会社や地域再生推進法人に、そのための人とお金をどうつけるか。知恵の絞りどころであり、そこに官民連携の意味がある。
 当協議会ではそのための情報を集め、人と人との交流を進めています。ぜひ、多くの自治体、事業者、思いのある個人の皆様に会員になっていただき、少子高齢化、地方経済の衰退というマイナスを「活躍」で逆転させるようなまちをつくっていきたいと思っています。