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今月のおススメ本は、トラヴィス・ブラッドベリ―&ジーン・グリーブス著/関 美和 訳『EQ2.0 「感情的知性」を高める66のテクニック』サンガ新社
EQとは“Emotional Inteligence Quotient”。「感情的知性」=「心の知能指数」である。IQ=知能指数は生まれながらに決まっており、知識や情報を蓄えても、上がらない。IQは先天的な学習能力だ。一方、EQは後天的、やり方次第で上がっていく。仕事で高い能力を上げている人の90%はEQも高いという調査結果があるという。
感情は厄介だ。激情に駆られてそれを相手や物にぶつけてしまったり、落ち込んで何も手につかなくなったり。その際、「感情的になってはいけない」と自分を戒めても、効果は薄い。理性は感情に乗っ取られているので、まずは自分の感情を知る、「自己認識力」を高めるところから始めよう。理性は時々の感情を「いい」「悪い」で判断しようとするが、それでは感情があなたに教えようとしているものを理解する機会を逃してしまう。それは自分が見たくないものかもしれないが、それを知り、手なずけることできれば、大きなプラスだ。「いい」気分に支配されてもいけない。調子に乗って衝動的な判断をしてしまうかもしれないからだ。
それをクリアしたら次は「自己管理力」である。自分の感情に対応できるようになれば、難しい状況でも舵を取り、変化に素早く応じ、目標達成に必要な手を打てる。そのためには自分のことを見てくれる人に目標を公開し、できないことよりもできることに目を向け、あなたが出会うすべての人から学ぶ姿勢を忘れないように。
次のステップは「社会的認識力」。他者について学び、理解することである。それによって相手の立場に立って考え、全体像を見渡すことができるだろう。相手との関係性をよくしたければ、挨拶するときは相手の名前を呼ぼう。会話の際に、相手が何を言ったのか、言わなかったのか、隠れたメッセージは何かを、相手の声のトーンや速さなどからキャッチする傾聴にも努めたい。
さらに踏み込んでいくのに必要なのは「人間関係管理力」だ。オープンマインドは基本である。相手との関係で居心地が悪いことを避けず、相手の気持ちを無視したり、変えたりしようとせず、そのときの感情を認めるのは、自己認識力と同じ手法。厳しいことも言わなければならないときは、①同意できる部分から始める、②相手の考えをあなたが理解できるように助けを求める、③反論したり返事を考えたりしない、④相手にあなたを理解してもらう、⑤会話を先に進める、⑥連絡を取り続ける。
なかには無意識で実践していることもあるだろう。だが、本書で体系的に知るのとそうでないのとでは、あなたが他者に向き合う姿勢は大きく変わるはずだ。(芳地隆之)
