2021年春のオープンの準備が進む、(公社)青年海外協力協会のJOCA東北の拠点施設(宮城県岩沼市)で、先日、保育士交流会が開かれたそうです。

拠点施設では0~5歳児の保育園(J’s保育園岩沼)が運営される予定で、保育士さんは、ママパパたちと一緒に遊戯室を使って映画上映会をやりたい、世界各国のいろいろな楽器も使って「ごちゃまぜ」コサートもやりたい、など盛り上がっているとのこと。子どもも高齢者も、障害のある人もない人も、日本国籍のひともそうでないひとも、一緒になってハッピーになる日本初の施設になる予感がしています。

心配事もあります。地域に開放された施設なので、いろいろな方が出入りをする。知らない人もくる場所に子どもを安心して預けられるのか--そう思っておられる保護者の方もいらっしゃるでしょう。

ならば、施設の入り口で来る人をチェックするのか、塀を高くして中が見えないようにするのか、でも、これでは「ごちゃまぜ」にならない。悩ましいところです。けれども、悩ましいことが起こるのが日常だと考えれば、見えてくるものも違ってきます。

たとえば、施設と道路を挟んで建つ県営亀塚団地に住む独居の高齢者が日々立ち寄る。普段から幼児との交流がない方には、子どもたちの存在に戸惑うことが多いかもしれません。幼児の方もしかつめらしく座っている「おじいちゃん」は近寄りがたいでしょう。

ただ、「おじいちゃん」が毎日ここに通うことで、施設のなかにどんな人が来ているのかがなんとなくわかってきて、初めて来た人に声をかけるようになれば、少し離れたところから子供たちを見守っていることになる。普段はそんなに言葉を交わさなくても、この場にいるだけで通じ合える。そんな関係が生まれるかもしれません。

ある若いシングルマザーの方がこんなことを言っていました。

「母一人、娘一人なので、普段はどうしても2人だけで向かい合うことが多く、正直しんどいこともあるんです。それはお互いにとっていいことじゃないですよね。だから娘には私以外の、たくさんの大人の目に触れてほしい」

そういうとき、保育士さんだけでなく、これまで居場所がなかった近所の「オヤジ」(男性ばかりですね。男性の方が年齢をとるほどに居場所がなくなるというので、どうしても男性を例えにしてしまいます)がよき役割を演じてくれるのではないでしょうか。

知らない人が来るのは不安、たくさんの大人と接してほしい--保護者の皆さんはその両方をもっていると思います。

いろいろ悩みが尽きないなか、人と人との交流を通してどんな「化学反応」が生まれるのか。JOCA東北の拠点施設、オープンが楽しみです。