埼玉県で住みたいまちでいつも上位にランクされる川越市でも空き家問題は深刻です。同市が平成28年度に実施した空家等実態調査では、市内に2,060戸の空き家があるとのこと。

 空き家は全国で増え続けています。総務省『平成25年住宅・土地統計調査』によれば、全国の空き家は820万戸(住宅総数は6,063万戸)であり、約7件に1件は空き家という計算ですが、2018年6月に出されている野村総合研究所『2030年の住宅市場と課題』(2018年6月)では、2018年時点の空き家は1,026万戸と推測されています。

 人が住まなくなっても、解体して更地にすることなく、家をそのままにしているケースが多い理由のひとつは税金対策です。固定資産税には「住宅用地の課税標準の特例」といって、敷地面積のうち200㎡までの部分を小規模受託用地と定義し、課税標準を登録価格の6分の1にするという調整措置があります。そのため人が住まなくなった家屋を更地にすると、住宅用地とみなされなくなるので、固定資産税が一気に6倍になってしまうのです。

 ならば空き家を改修して住宅を探している人に売るなり、貸すなりなりすればいいということで、空き家を登録して紹介する空き家・空き地バンク制度をもっている自治体が全国に約600、約9,000件(2019年5月時点)の情報を提供しています。

 川越市も空き家バンクを始めました。売買・賃貸借に関する交渉や契約については、すべて市と協定を締結した宅地建物取引業の団体の会員である業者が当事者間を媒介します。

 また、シルバー人材センターでは、空家サポート事業として、所有者に代わり、空き家を訪問・点検したり、除草・草木の剪定なども請け負うとのこと。シニアの方の新しい仕事として位置づけられればいいですね。