『生涯活躍のまち』第5号で登場いただいたコミュニティ・デザイナー、山崎亮さんが、地域でケアする仕組みをつくり、実践している方々と鼎談している本です。登場するのは長岡市の長岡福祉会と高田建築事務所、東近江市の永源寺診療所と滋賀地方自治センター、埼玉県幸手市と杉戸町のJMA東埼玉総合病院、在宅医療連携拠点菜のはな、元気スタンド・ぷリズム、そして石川県金沢市と白山市の佛子園と五井建設。福祉はもちろんですが、地域包括ケアの構築にまちづくりの視点も必要であることがよくわかります。ハードではなく、ソフトからの発想。なかでも事業者と建築家の関係が面白い。高田建築事務所の高田清太郎さんが長岡福祉会のこぶし園創設者である故小山剛さんに図面を見せると「これじゃただの施設だな!」と却下されたそうです。当協議会の会長でもある佛子園の雄谷理事長は五井建設の西川英治社長に「はっきり言って、僕は建築なんかどうでもいいと思っている」と言ったというエピソードも。故小山さんも、雄谷理事長も、利用者にとっての心地よい建物はどういうものかを徹底的に考え、そして建築家もそれに応えていく。その過程がまちづくりとは何かという根本的なところともつながってきます。

ここでは滋賀地方自治センターの北川憲司理事の言葉を引用させていただます。「本来、地域包括ケアシステムは、高齢者や介護保険だけではなく、本来は障害者も生活困窮者も、全部一体的に考えるもの。社会的ハンディキャップのある人をまるごと『地域』という概念のなかで支援する。それも一方的にサービスの受け手とするのではなく、相互に助け合う生活支援のしくみのことなんです」。本書に登場する方々はその地域と住民に合ったそれぞれの方法論で実践しています。おススメの一冊です。