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新型コロナ禍で考えるソーシャル・ディスタンスについて
新型肺炎コロナウイルスの感染が日々拡大しています。今日の報道では明日(7日)にでも緊急事態宣言が出される可能が高いとのこと。
すでに飲食接待業を中心としたサービス業、演劇、コンサートなどの文化活動などが自粛要請によって大きな打撃を受けています。経済的な影響で家を失う方が増えるかもしれません。福祉の面では千葉県の障害者施設や名古屋市のデイケアサービス施設などで施設内感染が報じられています。 医療福祉施設で働く方々は日々、ご自身の健康のリスクを負いながら、患者さんや利用者さんのために働いておられ、頭が下がるばかりです。
こうした切迫した状況の下でコロナ終息後のコミュニティについて書くのはどうかとも思いました。しかし、拡大の勢いが収まったからといって、これまでの日常生活がすぐに復活するわけではありません。おそらく長期戦が見込まれるなか、私たちの暮らし方も少しずつ変えていかなくてはならないと思っています。
私たちが目指す「ごちゃまぜ」コミュニティは、その土地の歴史、人口規模、主要産業、都市からの距離などの様々な要素によってあり方が違ってきますが、地域の方々がさりげなく集える「場」をつくることでは共通しています。
大都会ではいたるところで人が集まっています。でも、お互いは顔も知らない、挨拶もない。たいていは仕事、買い物、食事、映画やコンサートの鑑賞など目的があるので、それが済めば、散らばっていく。いわば集合離散の繰り返し。一方、「ごちゃまぜ」コミュニティでは、高齢者から子どもまで、障害のある人、ない人、日本国籍の人、そうでない人も一緒になって暮らす地域ですが、お互いの顔を知っている。だから目的がなくてもふらりと立ち寄って他愛ない話をするもいいし、部屋の隅で一人で本を読むのもいい。周りはそれを見守っている。そこに他所から初めて来た人がやってくれば、さりげなく、あるいは多少おせっかいに声をかけてみる。
密閉、密集、密接の「三つの密」は匿名の社会だから起こることであり、地域の人々にとって居心地がいい空間では、人は適度の距離を保っていられる。これこそソーシャル・ディスタンスではないでしょうか。
そのいい例が、当協議会の正会員である社会福祉法人佛子園と公営社団法人青年海外協力協会(JOCA)が連携して運営している石川県輪島市にある輪島KABULETⓇ。そこがどんな場であるのかについては以下の記事のなかにある「単身男性も、もめごとも、大歓迎!——オープン 1周年を迎えた輪島KABULET®」をお読みください。
また、同じく正会員である社会福祉法人・愛知たいようの杜が運営する「ゴジカラ村」もそうだと思います。こちらは下記の記事から「ゴジカラ村の風景~わずらわしさが人に役割と居場所を与える~」をお読みいただければ幸いです。
なお、上記のJOCAは一昨年、東京から移転した先の長野県駒ケ根市「銀座通り」に面した本部で、また大阪ではビジネスの中心地である大阪市梅田から摂津市の下町に引っ越した拠点で、それぞれ高齢者から子どもまで、各々が各々の時間を過ごしながら、ときには一緒に地域のイベントを開いたりしています(その他、広島県安芸太田町、宮城県岩沼市、鳥取県南部町でも開設の準備が着々と進行中です)。
そうした交流のなかで地域の抱える課題をみんなで解決しようという機運が生まれたり、自分たちだけで難しければ生涯活躍のまちアドバイザー(昨年はそのための研修に計200名が参加しました)が地域に入って事業を始めたり、といったことにつながれば、地域内で循環する経済の仕組みが増えていくのではないでしょうか。
そうしたことを見据えながら、まずはみんなで協力して新型コロナの拡大を抑え込むため、一人ひとりができることをしていきましょう。