ひきこもる中高年の子と高齢の親が孤立する「8050(はちまるごーまる)問題」として、内閣府が取り上げたのは3月末のことでした。同府が公表した全国推計によると、40~64歳のひきこもり状態の人は61.3万人に上るとのこと。しかしながら各人の置かれた環境は違います。外からは普通に生活されているように見えていても、自分はひきこもりだと感じている方もいらっしゃるそうです。

私もあなたもひきこもりになりうると思います。現在、法政大学の教授を務められている湯浅誠さんは、自著『反貧困』のなかで、普通の人が貧困に陥ることを食い止める「ため」がなくなっていることを指摘し、その現状を「すべり台」社会と名づけています。

その「ため」をどうつくっていくか。そのためには「たまれる」場所の用意を、という精神科医の斎藤環さんはこう語っています。

「まずは、就労や勉強などの目的を持たずに、自助グループやデイケアなど、望む人が『たまれる』場所を用意する支援が大切です。人に慣れ、親密な関係とはどういうものか思い出してもらうリハビリの場づくりに、人もお金も投入するべきです」

「ため」「たまれる」。そうした場をつくることも地域コミュニティの役割のひとつだと思います。