日本版CCRCのスタート時、 首都圏の介護難民問題を解決することと、アクティブシニアが元気なうちに、地方へ移り住むことがセットで語られた。それから約10年を経た現在、首都圏への人口流入は止まらず、東京の一極集中は進んでいる。
 地方創生という言葉は東京目線じゃないか― ―というのは今号に登場いただいた、住まい情報誌『SUUMO』の編集長、池本洋一さんである。東京は問題なし、地方は課題山積のような響きがあるが、本当は各人にフィットする地域がどこかにあるはずなのに、それが見つけられないのが現状ではないかと池本さんはいう。
 もう一人のインタビュイー、Jリーグクラブ・鹿児島ユナイテッドFCの営業部長である東理香さんは、故郷がいやで東京へ飛び出したことが、地元を見直すきっかけとなった。東京で知った「何者でもなった私」が、鹿児島で「たくさんの打席に立っている今」につながっている(その真意は本文を読んでいただきたい)というお話であった。
 「自分はこんなところに住みたい」は「自分はこのような生き方がしたい」と不可分である。それを実現するというのが日本版CCRC、現在の生涯活躍のまちの出発点だった。その原点をいま一度、振り返る号にしたい。