「東京圏をはじめとする地域の高齢者が、希望に応じ地方やまちなかに移り住み、地域住民や多世代と交流しながら健康でアクティブな生活を送り、必要に応じて医療・介護を受けることができるような地域」を日本版CCRC という。作家の久田恵さんは、那須の自然に魅了されてサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に入居された。CCRC を意識してはいなかったが、結果としてひとつのモデルケースとなった。
 人を描くノンフィクション作品を数多く書いてきた久田さん。サ高住では他の入居者さんともつかず離れず、ほどよい距離感を保って生活していこうと思うも、持ち前の人への関心が相手の胸襟を開き、仲間をつくって人形劇団を結成するなど充実した日々を送るようになった。
 ところが今年の春、東京の実家に戻り、一人暮らしをされているとのこと。どうしてか。ご自宅に伺い、その理由をお聞きしていると、いまの生活もまたエンジョイされているようだ。物事をポジティブにとらえる性格もあるのだろう。日本版CCRCの次なるステップに踏み出された。そう思わせるインタビューであった。