昨年、刊行されたエッセイスト・作家の松原惇子さんの新刊『老後はひとりがいちばん』は、著者が人生の先輩たちから聞いた経験や思い出を紹介しながら、おひとり様がいかに明るく生きていけるかを指南する本です。

一方は朝日新聞が毎月1回、発刊するタブロイド版『GLOBE』。特集は「孤独」。孤独は健康をむしばみ、仕事に関わる創造力や意思決定能力を損なうこと、未婚化が進む日本においてとりわけ孤立しやすい単身男性高齢者が地域にかかわる大切さを指摘する一方、群れずに樹上で生活するオラウータンの寿命の長さにも言及しています。

松原さんも孤独がいいとは言っているわけではありません。語り合う仲間が大事なことは、おひとり様だからこそ実感しており、いざという時は支え合えるような人間関係を彼女はもっておられる。重要なのは適度な距離感。それが人間関係を長く保っていく秘訣であり、ひとりで生きていくこととコミュニティづくりは対立するどころか、互いに不可欠なものなのではないでしょうか。

そういえばマンガ『孤独のグルメ』はロングセラー(作画の谷口ジローさんは亡くなってしまいましたが)ですし、テレビ版(松重豊さん主演)にも根強い人気がありますね。

自分のことは自分で決める、言ったからにはやらなくてはいけない。それを実行する人たちが一定程度集まると、とても居心地のよい場が生まれる。そんな気がします。