Gross Kochi Happniness=高知県民総幸福度。高知県がつくった新たな幸せ指標です。高知県は東洋経済新報社が隔年で発表する「全四七都道府県幸福度ラインキング」において、これが始まった2012年以降、2018年と4回連続して最下位となりました。その指標には「基本指標」(人口増加率、県民所得、財政健全度)をはじめ、「健康」「文化」「仕事」「生活」「教育」があり、2018年度は、それぞれ47、32、44、43、46と低迷。生活習慣病患者の人口比での多さ、平均寿命、学歴などの低さも原因とされています。

それに対して「いや、いや、そんなことはない。高知の人は大らかだし、自然は豊かで食べるものもおいしい。物価も安い。指標の中身が違うのではないか」と異議を唱えた高知県の経済団体である土佐経済同友会が「高知県の幸福度を考える県民会議(GHK県民会議)」とともに、世界一幸せな国といいわれるブータンのGNH(Gross National Happiness)=国民総幸福量にならって、高知県独自の豊かさの指標をつくって県民アンケートを2016年、2014年、2016年に実施したのでした。

うち、2016年の質問項目は次のようなものです。「Ⅰ 健康・福祉」では、「いざという時に頼れる人(家族・親戚、近所、友人、行政等)が身近にいると感じますか?」や「あなたは、家庭や職場、学校、地域などで、自分の役割があったり、自分の居場所があったりすると感じますか?」、「Ⅱ子育て・教育」では、「子ども達が安心して生活できる地域での見守り環境が整っていると感じますか(通学・遊びの場を含む)?」や「子育てにおいて、地域でアドバイスしてくれる人がいると感じますか?」、「Ⅲ産業」では、「経済的に余裕のある生活を送ることができていると感じますか?」や「あなたのお住まいの地域では自分の能力を発揮できる仕事があると感じますか?」、「Ⅳ環境 」では、「身近に行楽やアウトドアレジャーに行ける場所があると感じますか?」や「お住まいの地域では、困っている人を見かけた時に、声を掛けたり協力したりする雰囲気があると感じますか?」、「Ⅴ文化」では、「地域での活動に積極的に参加していると感じますか?」や「地域での伝統、文化が次世代に引き継がれている と感じますか?」、「Ⅵ 安全・安心」では、「高知では、女性が安心して飲みに行けると感じますか?」や「災害時に近隣の人と助け合う関係があると感じますか?」などなど。「高知では、女性が安心して飲みに行けると感じますか?」は、その質問設定自体が面白いですね。

最後の項目は「Ⅶ高知家」です。「高知家」とは高知県が掲げる「高知県民はひとつの大家族」というキャッチフレーズから生まれた言葉で、「高知の食材は、新鮮で美味しいと感じますか?」「食材を自分で作ったり採ったりすることがありますか?」「仕事や学校以外での知人や仲間がいると感じますか?」「飲食店で初対面の人と意気投合したことがありますか?」「県内の川で泳いだ経験がありますか?」「高知のおきゃく文化が好きだと感じますか?」といった問いが設定されており、回答者は上記の項目7つのうち、幸福にとって重要だと思うものを順序づけて、あらためて自分が高知で暮らして幸せか、自分が高知を好きと感じるか、を問うのです。その結果、幸福実感の平均指数(最低が3、最高が4)は3.77でした。

GKHによれば、高知県民の半分以上は幸せを感じている。経済統計などから算出される数字による評価と、当事者が抱く幸福感は必ずしも一致しないことを示しています。なお、GKHは2019年にはさらに拡大し、2020年の新型コロナウイルスの感染拡大のなかでも上昇しているとのこと。土佐経済同友会がいずれ結果を発表すると思います。