4月1日(日)に鳥取県南部町にある(公社)青年海外協力協会の鳥取県南部町の拠点であるJOCA南部に新たな交流施設が生まれました。法勝寺温泉別館は日本財団の助成も受けて建てられた「子ども第三の居場所」です。現場の責任者として開設の準備をしてきたJOCA南部の増田春菜さんは同日に行われた開所式で、

「私が5年前に南部町へ移住したとき、まちなかでいるところがないという中学生がいました。それ以来、不登校や引きこもりなど、生きづらさを感じる子どもたちの、家でも、学校でもない居場所ができないかと考えてきて、それがいまこのような形になったこと、関係者の皆様に御礼申し上げます。ここは子どもだけではなく、地域の方々たちをはじめ誰もが訪れることのできるところです。人と人とが関り合って、いままでにない化学反応が起こるような場に育てていきたいと思います」

JOCA南部の増田春菜さん

別館の入り口にある厨房では、本館にある蕎麦処「やぶ勝」とは雰囲気が一転、ケバブグリル機で肉が回転しており、カレー(ゴーゴーカレーが提供)やナンなど、いままで南部町になかったメニューが提供されています。

「この街道は昔は賑やかだったんだけれど、人が減り、商店が閉まっていくにつれて、夜はすっかり暗くなってしまった。でも、ここ(法勝寺別館)ができたことで、通りに明かりが灯るようになった。それがうれしい」というのはJOCA南部町の「生涯協力隊」の代表を務める蔵光昭雄さんです。店で食事をしていた、法勝寺温泉別館の2軒先の実家で商売をやっていたという人も「明るいというのはいいね。人の気配を感じさせてくれる。俺は『おでん屋』やろうかな」と笑顔を見せていました。

夜の街道を優しく照らす灯り
ケバブグリル機がある厨房と地域の人たちがくつろぐカウンター

JOCAの雄谷会長は開所式の冒頭、自身が理事長を務める石川県の社会福祉法人佛子園が取組む能登半島地震支援活動に「南部町が発災当初から、物資、人材の両面で支援してくださっていることに、石川県民を代表して感謝申し上げます」と述べた後、佛子園・JOCAが共同で運営する輪島市の拠点、輪島KABULETの食事処では地域の人たちがカウンターで自分の思いを語り合っていることに触れ、「人と話し合ったり、愚痴をこぼしたりすることで、人は震災によって生じるPTSD(心的外傷後ストレス障害)から解放されます。居場所にはそんな力があるんです。そうした環境が災害に効いてくる。法勝寺温泉別館も、日頃から人が集まり、お互いの顔が見えるような場に。ここはJOCAではなく、皆さんの拠点と思ってほしい」

挨拶するJOCA雄谷会長。司会は南部町の子どもたちが務めてくれました。

南部町の陶山清孝町長は「私たちが生涯活躍のまちに取り組んで9年目を迎えました。この間、地方創生に成功している市町村はいまも機能しているのか、という問いも投げかけられますが、南部町は胸を張って「機能している」と言える。ここは子どもの声が聞こえる、そして大人や障害者、高齢者も集まる新しいサードプレイス。その光景を見るのが楽しみです」

地元テレビ局のインタビューに答える陶山町長

(公財)日本財団子どもサポートチームのチームリーダー、金子知史さんは「子ども第三の居場所はこの事業を通して全国で214拠点になりました。それらがお互いに結び合って線になり、さらには面になることで、共通の課題を解決をするなど、子育てコミュニティを再興していきたい」

この日は「ハレの日」ということで多くの家の前には法勝寺の古い家紋「四つ割り櫻に結び四ツ目」をあしらった朱い旗がかけらました。むかしはこうだったなあと思い出させると同時に、これから町の新しいシンボルにもなっていく予感もさせます。

前日および前々日は「南部町さくらまつり」が開催されました。法勝寺川沿いの土手は桜の淡いピンクに彩られていました。