当協議会会長の雄谷良成(社会福祉法人佛子園理事長、公益社団法人青年海外協力協会会長)は、定期的に寄稿している『福祉新聞』のコラム「一草一味」において、次のように記している。
 「一人の生活を支えることは、福祉の最も大切な営みの一つである。食事に寄り添い、入浴を支え、日々のリズムを整え、困り事に耳を傾ける。これがいわゆる〝ミクロの福祉〟であり、制度として整えられてきた福祉サービスの中心にある領域だ。
 しかし、地域を見渡すと、また別の種類の困難が広がっている。バスの路線が廃止され、買い物に行けない高齢者が増える。商店街のシャッターが下がり、日用品すら手に入りにくくなる。農家は担い手を失い、耕作放棄地が広がる。さらに災害が起きれば、地域の基盤そのものが揺らいでしまう。
 こうした出来事は制度の事業コードには書かれていないが、確かに地域の暮らしを脅かす〝社会課題〟である。こうした広いスケールの課題に向き合う営みを〝マクロの福祉〟と呼ぶことができる。」
 今回、登場いただくお2人――岩手県盛岡市で「なないろのとびら診療所」を運営している総合診療医の松嶋大さん、北海道室蘭市で共生型サービスを展開している株式会社由希の卯城美智代さん――も自らの領域を超えて社会課題に取り組んでいる。
 社会課題を解決しようと始められたのではない。目の前の「一人の生活を支え」ようとしたら、既存の制度を乗り越えることになった。ミクロに取り組んでいたらマクロの視点が不可欠になったということだろう。目の前にいる人を支えたいという思いが制度を越えていく原動力になった。お2人の話を聞くと、その過程がよくわかる。