静岡県南伊豆町では「生涯活躍のまち」のコンセプト、「学びあい、認めあいながら、地域全体でつくる健幸、活躍、共生のまちづくり」を掲げ、誰もが居場所と役割のある地域づくりに取り組んでいます。

日本版CCRCが始まった当初、同町では南西の弓ヶ浜に面した旧湊病院跡地ならび姉妹都市である杉並区の所有地を活用した拠点整備を進めていました。しかしながら、用地取得費の高騰などで頓挫。「生涯活躍のまち」のランドマークが失われ、町において「生涯活躍のまち」の課題感が統一されていないのが現状です。

そこで当協議会事務局は4月、有識者、生涯活躍のまちアドバイザーとともに現地を訪問しました。 町民の方々が「生涯活躍のまち」 事業に参画するのはどうしたらいいか、「生涯活躍のまち」の魅力をいかに伝え、地域づくりに係る各施策に統一感をもたせるか、といった問題意識をもって、地域の活動をされている方々とお会いしたところ、みなさん、とても前向きで、明るい姿勢に感服しました。

共生型サービスに取り組まれている NPO法人風楽(ふうら)は高齢者、障害者、子どもなど様々な方々へのケアを行っています。代表の渡邉映子さんは、活動の目的を、「誰もがいられる、居心地のいい場をつくっていくこと」とおっしゃっていました。

NPO法人伊豆未来塾の阿部正巳さんは、移住希望者のために地元を案内し、南伊豆町で生活する際の問題なども包み隠さず、実際に住まわれた方々へのフォローも行っています。

ゲストハウスDajaを経営する松原叔美さんは、 地元の方々にとってもプラスになるような活動を常に心がけておられました。

皆さんは移住者です。渡邉さんは杉並区出身(お父様の生まれが南伊豆町で、実家もあるそうです)、阿部さんは横浜市出身で定年後の生きがいを求めて南伊豆町を選ばれ、松原さんは神奈川県から地域おこし協力隊として南伊豆町に移住し、任務が終了後に起業しました。

みなさんがおっしゃるのは「(いまの活動は)よそ者だからできたと思う」。

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、現在は人の流れが抑えられていますが、 人口減少を続ける地域の再生に果たす移住者の役割の重要性を再確認した次第です。

この視察では南伊豆町役場・地方創生室の山口一実さんに、事前のアレンジから現地の案内までたいへんお世話になりました。この場を借りて御礼申し上げます。

皆さんがどのような活動をされているのかについては、当協議会の定期刊行物『生涯活躍のまち』であらためてご紹介いたします。