先日、東京丸の内の3×3 Lab Futureにて標記の講座が開かれました。三菱総合研究所主席研究員の松田智生さんがファシリテーターとなって、当日はゲストとして初代地方創生担当大臣を務めた衆議院議員の石破茂さんによる特別講演、今年度の逆参勤交代トライアルに参加された受講生の方々による報告とパネルディスカッションが行われました(写真は松田さんのFBより)。

石破さんは江戸時代の天下泰平が可能だった理由として、江戸一極集中をなるべく回避しながら、参勤交代によって人の交流をしていた点を指摘。明治維新では中央集権により近代化が大成功し、第二次大戦後は日本が早く豊かになるために米国が東京一極集中を進め、公共事業で雇用を創出しながら大量生産・大量消費の高度成長経済をなしとげたという歴史を振り返りました。

そして現在。2022年の出生数が80万人を割ったという数字が公表されたのはつい先日のこと。石破さんは「東京一極集中はわざとつくったのだから、わざとこわさなくてはいけない」と言います。各界のトップの多くは東京で成功した人たち。当人たちはいまの日本のかたちを進んで変えようとはしない。だからこそ「逆参勤交代」の制度化が必要だと主張されました。

パネルディスカッションでは、デンソーのシニア社員が逆参勤交代をきっかけに地方の中小企業の工場の現場改善の副業を開始、三井不動産のミドル社員が副業として各地のワインの東京での販路開拓を準備、資生堂の女性社員が小諸市の食材を自社の社員食堂で使うイベントを企画中など、個人も企業も地域も「三方よし」のストーリーを語ってくださいました。

石破さんは、可処分所得上位40%〜60%という中間層を中央世帯とした都道府県別の可処分所得ランキングで1位:富山県、2位:三重県、3位:山形県であることも紹介しました。そして、地方における仕事、教育、医療、福祉、住まいなどに関する情報を提供していくことの大切さについての言及も。

石破さんの地方創生への思いはいまも変わらず熱いものでした。氏の考えをもっと知りたい方は、著書『日本列島創生論』をお読みください。書評はこちらです。

『日本列島創生論』地方は国家の希望なり(石破 茂著/新潮新書)