12月14日(火) に開催された標記のセミナーでは、(株)市浦ハウジング&プランニング住宅推進事業室長の仁科力さんより講演「「住まい」の地方創生シフト」、(株)ビレッジハウスマネジメントのコミュニケーション本部長・平田陽一さんより「旧雇用促進住宅をリブランド・ビレッジハウスの展開」、(株)kyma代表取締役社長の土用下淳也さんより「ごちゃまぜ建築とは何か」についての報告をしていただきました。

国の住宅政策の策定にも携わり、現在は様々な地域でコンサルティングを行っている仁科室長から、住まいをエンジンとしたまちづくりについての話をしていただきました。地方創生における「住まい」は移住の受入のためにも大切な要素です。マーケットだけに任せていては進まない、官民連携によるローカライゼーションの重要性を指摘する仁科室長からは、空き家の利活用など、各地域における課題解決の試みなども紹介いただきました。

平田本部長からは、 ビレッジハウスマネジメントが購入した全国の旧雇用促進住宅を「ビレッジハウス」としてリブランドし、提供している事業について報告をいただきました。敷金・礼金など初期費用は原則不要、できるだけ家賃を押え多くの方が利用えきるよう工夫や改善を重ねた結果、入居率は取得時点の2017年4月における33%から2021年10月現在、66%にまで向上したとのこと。

その理由のひとつは同社による地域のコミュニティづくりにあります。団地内で孤立しがちな住民の方々がどうしたら交流できるか。お花見やバーベキュー、アートのイベントなどで親睦を深め、暮らしやすさを演出。また、外国人のための多言語対応にも取り組んでおり、世代や国籍を超えた住まい方を可能にしているのです。。外装や共有部、内装のイノベーションとしったハードの整備はもちろんのこと、人とのつながりというソフト面も、ビレッジハウス事業が全国で進んでいる重要な要素であることがわかります。

土用下社長からは建物のハードの面から豊富な事例を紹介いただきましたが、「人間に対する深い洞察力が現れた建築」を理念として掲げるkymaは、建物のなかに自ずと人と人が交わるような様々な仕掛けを施しています。心地よい空間とは何か。そのきめ細かい目配りに参加者の方々は新鮮な驚きを覚えた様子でした。

「住まい」を政策、コミュニティ、建築という観点から論じた当セミナーでは、地方創生における「住まい」の役割の重要性、ならびに「住まい」が建物にとどまらない様々な機能を有するものであることが伝わったと思います。

今後はより多くの事例を紹介しながら、地域に見合った課題解決に資する勉強会などを開催していく予定です。