なかなかのタイトルのこの本、 「シングル女性の自分らしい人生とその最期の迎え方」を考え、実践することをライフワークとしてきた 作家・エッセイストの松原惇子さんの新作です。

孤独であることはすべての人にとって悪いことではない。自由であることは寂しさや不安から逃れられない。双方を理解した上でその2つを選択した松原さんですが、他者に対して無関心かというと、そうではありません。むしろ逆。ご自身が立ち上げた おひとりさま女性の「SSSネットワーク」(Senior、Single、Smileの頭文字をとって名付けた同ネットワークの会員は約800人)の会員に対する面倒見のよさがそれを物語っています。

本書の前半ではひとりで逝った会員のケースが丁寧に紹介されます。当人がどのように最期を迎えたかをできるかぎり正確に記録する。自分らしい人生を全うしたいという著者やSSSネットワークの会員が学ぶためでもあるのです。

本書の後半は実践編。おひとり死を迎えるための心構え、人に迷惑をかけないで死ぬために今からやっておくべきこと。前者で大切なのは人間関係であり、ご近所との付き合いや、地域におけるサークル活動への参加を勧めます。そうすれば、しばらく姿を現さないと、誰かが「最近来ないけれど、どうしたんだろう?」と気にしてくれる。おひとりさまには身内や友だちよりも地域が大切という著者の言葉にも説得力があります。

高齢者がひとりで暮らしていくための壁になる身元保証人についてのアドバイスは「身内はいないで通せ」と極めてシンプル。それでも病院で治療や入院を渋られるようであれば、札束をちらつかせて押し切れ(笑)とも。

遺言書の書き方やそれを誰に預ければよいかも指南してくれます。死後3日間のうち(遺体が腐乱しないうち)に発見してもらう具体的な対策も忘れません。

人間、死ぬときはひとりです。本書は、女性のおひとりさまだけでなく、ひとりで最期を迎えるにはどうすべきかを考える、すべての人に役立つマニュアルになっています。