私たち――とりわけ地域のために何かをしたいという人たちは課題に直面すると自分で解決し
ようとする。しかし、様々な世代がいて、異なる利害が入り混じるところでやれることは限られている。したがって、失敗することも多いのだが、そもそも「自分の力でやれることはたかが知れている」と思って取り組んでみたらどうだろう? 前もって最善の努力をしていくことはいうまでもない。当事者の人となりや人間関係、取り巻く自治体や団体、企業等の動きなど、できる限りの情報を集めてアプローチをする。それでもうまくいかないときは課題を地域に返してみよう。
 そこでの肝は「〇〇をしてくれませんか?」とお願いするのではなく、「どうしたらいいでしょう?」と相談する。前者に対しての答えはYESかNOになるが、後者に対しての返事は具体的な提案だ。ましてや自分の暮らす地域のことなので、相手は「自分事」として考えざるをえない。
 今号では、昨年12月に開催した生涯活躍のまち「交流・居場所」セミナー(オンライン)での有限会社親和 代表取締役の羽田冨美江さんによる講演「超高齢社会は面白い」、そして羽田さんと当協議会副会長でもある大須賀豊博・社会福祉法人愛知たいようの杜理事長との対談「(困ったときは)胸を張って、“できません”と言おう」の概要を紹介する。
 失敗に学びながら人間への洞察力を高め、相手のやる気を引き出すにはどうしたらいいかを実践してこられた2人だ。初めて羽田さんにお会いしたとき、愛知たいようの杜が運営する「ゴジカラ村」の活動にとても似ているなと思って話してみると、羽田さんは自社を立ち上げるにあたって、「ゴジカラ村」を視察し、感銘を受けたという。
 丸投げのようで丸投げではない。それには技術も必要だ。そんなところもテキストから読み取っていただければと思う。