孤独や孤立、生活が困窮している人々が地域社会とつながりながら、安心して生活を送れるために重要なのは住まいの確保です。ところが、それが必要な人――(持ち家のない)単身の高齢者、障害のある方、シングルペアレント、虐待やDVなどから逃れるため家を出ざるをえなかった人など――ほど、民間の不動産業者からみると、家賃の滞納、保証人や身元引受人の不在、相談先がない、死後の事務をどうするかといったリスクとなる現実があります。

住む場所がなければ、人生をリスタートさせることは難しい。けれども、家屋を提供するだけでは不十分。国はソーシャルワーカーによる相談支援、地域課題の解決のために住民同士が助け合う「互助」の強化、地域とつながる居住環境や見守り・相談支援の提供などを挙げていますが、(居住支援を機能させるには)地域に家でも職場でもない「サードプレイス」があるかどうかが鍵になる、というのは当協議会会長である雄谷良成です。社会福祉法人佛子園理事長、公営社団法人青年海外協力協会会長を務める雄谷は、全国各地に「コミュニティの核になる『とびきり居心地のよい場所』」(レイ・オルデンバーグ著・忠平美幸訳『サードプレイス』みすず書房のサブタイトル)をつくっています。誰ひとり取り残さない「地域共生社会」を実現するには、誰もが気軽に集まれるサードプレイス、「ごちゃまぜ」の拠点で対応していきましょうと。

今号では近畿大学教授の山口健太郎先生から福祉建築の流れを振り返りながら今後の展望について、福岡県大牟田市で居住支援の活動をされている牧嶋誠吾さんから具体的な活動内容について語っていただきました。居住支援は日本が直面する大きな課題です。お二人の記事が居住支援を考える、居住支援に取り組む端緒となれば幸いです。

地域の課題は分野横断的(≒ごちゃまぜ)に解決していく。そのために当協議会は全国でひろく仲間を募っています。一緒に活動していきませんか。ご関心のある方、いつでもご連絡ください。

(一社)生涯活躍のまち推進協議会 芳地 隆之 HOCHI, Takayuki
 Tel: 080-2373-1928 Mail: taka.2429.hochi@gmail.com